「最近、セックスしたいと思わなくなった」
40代、50代になって、そんな変化を感じることはありませんか。
以前より、その気にならない。仕事や家のことを終えた夜には、もう疲れている。
パートナーとの関係は悪くないけれど、ふたりの親密な時間もいつの間にか減っている。
だからといって、触れられたくないわけではない。
手をつないだり、ソファで身体を寄せたり、眠る前にぎゅっと抱きしめてもらったり。
そんな時間は、むしろ欲しいと思う。
「その先まで求めているわけではない。でも、触れてほしい」
そんな夜もあるのではないでしょうか。

「触れたら、その先まで」と思ってしまう
本当は抱きしめてもらいたい。
でも、自分からくっついたら、「今日はその気なのかな」と思われそう。
キスをしたら、その先を期待されるかもしれない。
そこまで応える気持ちはないし、途中で「今日はここまで」と言って、相手をがっかりさせるのも嫌。
それなら最初から、触れないでおこう。
こうして、その先を望まないことと一緒に、触れ合う時間まで少しずつ遠ざかっていく。
長く一緒にいるふたりほど、お互いのことを「わかっている」と思いがちです。
けれど、
「今日は抱きしめてほしい」
「少し肩を揉んでほしい」
「今日はここまでが心地いい」
その日の気持ちは、言葉にして初めて伝わることもあります。
ただ、こんな気持ちを真正面から話すのは、少し照れくさいもの。
大げさな話し合いにしなくても、
「今日はちょっと、くっついていたいな」
そんな一言なら、伝えられそうです。

親密さには、もっとグラデーションがあっていい
ふたりの間にある親密さは、「する」「しない」の二つだけでは語れません。
手をつなぐ。
抱きしめる。
キスをする。
背中をマッサージする。
肌と肌で触れ合う。
隣で眠る。
その間にも、いろいろな時間があります。
実は、医学的にも、女性の性的な気持ちは、必ずしも最初から「したい」という欲求から始まるわけではないと考えられています。
「したい」という気持ちが先にあって、身体がそれに続く。いつもそんな順番とは限らない、ということです。
親密な関係のなかで触れ合ううちに、気持ちや身体の反応が生まれてくることもあります。
だからといって、「触れ合えば、その気になる」ということではありません。
抱きしめられて、それだけで満たされることもある。
そのまま、もう少し触れていたくなることもある。
今日は一人でいたい、という日もある。
その日の自分によって、心地よさは変わります。
親密さには、もっとグラデーションがあっていいのだと思います。
40代、50代。心地よさも変わっていく
40代、50代は、身体にも暮らしにも、さまざまな変化が訪れる時期です。
更年期に差しかかり、身体の変化を感じる。仕事、家事、親のこと、子どものこと。
若い頃とは違う疲れを感じる日も増えていく。
妻として。
母として。
仕事をする人として。
いくつもの役割を行き来しているうちに、「一人の女性としての自分」を意識する時間は少なくなっていきます。
身体も変われば、誰かを求める気持ちや、触れられたいと感じる気持ちも、ずっと同じではありません。
以前より求めなくなる人もいれば、あまり変わらない人もいる。気づけば、セックスレスになっていた。そんなふたりもいるでしょう。
女性の性的な気持ちや身体の反応には、ホルモンだけでなく、心の状態やパートナーとの関係、生活環境など、さまざまなものが関わっていると考えられています。
だから、若い頃の自分を基準にしなくてもいい。
今の私は、何を心地よいと感じるのだろう。
どんなふうに触れられると心地いいのか。
どんな距離なら安心できるのか。
誰かに触れたいのか。それとも、今日は一人でいたいのか。
誰かにどう見られるかでも、何歳ならこうあるべき、でもなく、自分自身に問いかけてみる。
年齢を重ねた今だからこそ、自分の身体や心地よさを、あらためて知っていく。
それも、大人のセクシャリティとの付き合い方なのだと思います。

昔のふたりに、戻らなくてもいい
長く一緒にいれば、ふたりの関係も変わります。
出会った頃のように、いつも触れ合っているわけではない。若い頃と同じような気持ちになれないこともある。
だからといって、「昔のように戻らなければ」と考えなくてもいい。
今の自分が心地よいこと。
今の相手が心地よいこと。
そのふたつを、ときどき確かめながら、今のふたりに合う距離を見つけていく。
もし、誰かの温かさが少し恋しくなったら、
「ちょっと、くっついていい?」
そんな一言から始めてもいい。
その先へ進む日もあれば、ふたりで笑って、そのまま眠る日もある。
大切なのは、昔のふたりに戻ることではなく、今のふたりにとって心地よい関係を見つけていくこと。
今のふたりには、今のふたりに心地よい親密さがある。
そんな関係を、これからゆっくり育てていくのもいいのではないでしょうか。
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